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2007年5月12日 (土)

岩手山へ、本編。

2007年5月4日(金)、盛岡のH副隊長のアパートで目覚める。5時少し前。

ポットでお湯を沸かし、カップラーメンの朝食。

H副隊長から激励の言葉、

「死ぬなよ、生きて帰って来いよ!」

というのもこんな事件があったばかりで、ここ盛岡だけでなく連日テレビニュースでも放送されていたそうだ。

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岩手山遭難:ヘリで2遺体、岩手署に搬送 /岩手

 県警山岳遭難救助隊は3日昼過ぎ、岩手山に登山中に行方不明となり遺体で見つかった岡山県玉野市槌ケ原、自動車整備工場経営、福森国雄さん(58)と妻陽子さん(46)をヘリコプターでふもとの岩手署に搬送した。

 同署などの調べでは、2人の遺体は、地熱で溶けた直径約2メートル、深さ約40センチの穴の中で寄り添いながら横たわり、腰に巻きつけたザイルでつながっていたという。

 遺族によると、国雄さんは学生時代から登山とスキーを趣味とし、ここ数年は日本百名山に夫婦で登ることを目標としていた。

 日本山岳会岩手支部事務局の小野寺正英さんは、「天候が良ければ少し疲れていても体力を消耗することはなかったと思う。春先は天気が変わりやすいので、岩手山の半分より上に行くと冬山の装備を心がける必要がある。ウールなど汗を吸い取って肌を冷やさない肌着を着ることも大事だ」と話している。【念佛明奈】

毎日新聞 2007年5月4日

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私も携帯から見れる限りの情報は得ていた。

私「いけるところまで行って見るよ。危ないところがあったらすぐ引き返すから」

H隊員「わかった、隊長に任せる。よろしく哀愁!」「ところでH副隊長も岩手山、一緒に登ろうよ!」

H副隊長「オレは求職中だっちゅうの」

無事帰還を誓い、H副隊長宅を辞す。

途中でコンビニに寄り、おにぎりとお茶を買う。携行食としてゼリーなども。

今日の岩手山は頂上にやや雲がかかっているが、「南部富士」「岩手富士」と言われる美しい姿を見せている。P5040106 P5040107

(お断り:今回の画像できれいなのはH隊員カメラ、キタナイのはたけぱぱカメラである)

6:15頃、馬返しの駐車場に到着。仕度をして、6:31歩行開始。P5040108 P5040109

P5040110

7:05、一合目。小休止。ぼちぼち雪が現れる。Image_128

P5040111

←7:15頃、こんな道ばかりならいいんだが・・・Image_129_1

8:00頃、道の脇にどっかり腰をおろしおにぎりを二つ食べる。やっぱりカップ麺ではもの足りない。この先ひたすら登りである。Image_130

←7:24、二合目。Image_137

←7:39、三合目。Image_139 Image_140

←7:54、四合目。雪の斜面だが、雪はザクザクで、踏み跡がしっかりしているので歩きやすい。

Image_146 ←かと思えば岩だらけの道も出てくる。

8:32、六合目。小休止。Image_148

←9:00、七合目。やや風が強くなる。帽子がとばされそうなので、帽子は腰のベルトに通し頭にタオルを巻きつける。P5040112 P5040113

←八合目手前にて。後ろに八合目の小屋が見えている。このあとガスってきた。

9:09、8合目の避難小屋に到着。小屋前でレインウェアを着込み、フードをかぶり、気合を入れなおす。

小屋を出発。踏み跡をたどって歩いていたら途中で途切れている。大したロスではなかったが、慎重に踏み跡を探して歩くことにしよう。

Image_1499:42、九合目小屋。あとでわかったことだが、お二人の遺体は前日までここに安置されていたハズである。

ここを過ぎると、いよいよ頂上へむけての急登が始まる。

と、途中で追い抜かれた「スーパーおじさん」(走るように歩く)が上から走り下りてくる。

おじさん(秋田なまり)「ダンメだ。カンゼ強い。オリはアチラメタ」「ま、気をヅゲデ」

そうだろうなー。ま、行けるところまで行こう。無理はしないから。と、お互いの意思を確認しあって先に進む。

急な斜面であるうちはまだよかった。風もそれほどでもなく、足元もそれほど歩きにくくもない。

頂上付近の稜線に出たとたん、強烈な風が進行方向左から吹き付けてくる。

お地蔵さんが点々と道に立っており、頂上への道案内をしている。年中風があるのだろう、風の吹く方向に倒れたままのお地蔵さんが数体あった。

ここへ来て、雪がズボる。歩きにくい。だが頂上が見えてきた。相変わらずの強風だが、姿勢を低くして先へ進む。

お二人の遺体は頂上から100m下の稜線の地熱でとけたと思われる穴の中で発見されたそうだ。ザイルで結ばれて。

それらしい穴が二つほどあった。手を合わせる余裕はなかったが、心の中で合掌する。

10:15、岩手山頂上着。

先客が一人いて、写真を撮りたいので我々を待っていた様子。お互いに撮り合う。Image_151_1 P5040114_1

P5040115

H隊員52座目。私28年ぶり2度目の岩手山であります。

恒例の三角点ペシッをやって固い握手。

H「下りるか?長くはいられないな」

10:17、下山開始。

頂上の稜線を通過。ホッとする。

あとはそれほど心配するところもない。先ほどよりガスも晴れ、雪の緩斜面を走るように下りていく。Image_152

←走り下りるH隊員

Image_153 10:37、八合目避難小屋到着。小屋の中(玄関)でおにぎりを食べながらゆっくり休む。

まだ、下山してはいないが生きて帰れたことに感謝だ。

15分くらい休んで、下山再開。

七合目を過ぎれば陽もあたり、鼻歌交じりの下山である。

Image_154

←5合目付近で愛妻とセブンちゃんにメールするH隊員。H副隊長にも「生きてるよ」の電話。

「こんな道通ってないよな」など言いながらノンビリと下る。雪のついてる道だからね。少しでも歩きやすい方を歩いたんだろうね。

雪がなくなると花が現れる。朝は開いていなかった花がきれいに咲いている。P5040117

P5040118

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12:44、登山口に到着。Image_157 Image_158_1

お疲れさん!

カッパを脱いで、靴を書き換え、H隊員号が動き出すと雨が・・・

私「おいちゃん、最近雨男返上だね」

H「パワーが落ちたね、雨男も」

H隊員号は渋滞の始まらないうちに東北自動車道をひたすら南下。3日間の走行距離は1155キロ。

その日のうちに青梅まで帰ろうと思えば何とか帰れたが、H隊員の

「うちに泊まっていくか?」

の優しい言葉についつい甘えてしまい、佐野のH家に一晩やっかいになりました。

H家の皆様、ありがとうございました。

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コメント

岩手山お疲れ様でした。
事件があったのは知らなかったので、
のんきなコメントしてしいまい申し訳ありませんでした。
雪山事故のニュースが流れると、両親をはじめ最近じゃ姉まで
「そのうち雪山登るっちゃろ?気をつけない!」と言ってます。
雪山に登る事はないけど、いくらよく知った近くの山でも危険とは隣り合わせ。
十分注意して登らなければと改めて思いました。

5月でも雪の量はすごいですね。ほんと別世界です。
風もすごく見ているだけじゃとても美しい山ですが、
登るとなると別ですね。
すっかり雪かと思えば、花も咲き始めているし、
いろんな表情のある山なんですね。
今回も一緒に登っている感ありました。
いつもありがとうございます(^^)。


投稿: らいず | 2007年5月12日 (土) 08時34分

らいずさん、
素早いチェックありがとうございます。
山に遭難はつき物ではないけれど、油断は禁物ですね。
歳に体力がついていけず、思わぬところで動けなくなることもあるといいますからね。

雪があることによって別世界。山の名前も知らずに登ってくる団体も来ない。
そういう良さもあります。

いつも応援ありがとうございます。
今度、ホントに一緒に登りましょうね。

投稿: たけぱぱ | 2007年5月12日 (土) 09時06分

のどかな風景にきれいな岩手山。が、岡山のご夫婦なんとも痛ましいです、ザイルで結ばれていたようでさらに胸を打たれます。雪がとてもたくさんありますね、雪がなくなったと思いましたら花が咲きはじめていて、その時その場で同じ山なのに変化がすごいです。一緒に登っている様でした、今回もありがとうございます。たけぱぱさん、H隊員さんが頂上まで登られ!無事に!下山出来てほんとうよかったです。

投稿: はっしー | 2007年5月13日 (日) 01時54分

隊長、お疲れでした。
百名山を2つも制覇できたのも、隊長のお陰です。
雪と風が予想以上に多かったけど、無事帰宅できてよかった。
まあ、次は「白山」だね、いよいよ!?

投稿: H隊員 | 2007年5月13日 (日) 22時28分

お久しぶりです。GWどうだったかなと思いお寄りしました。
鳴虫山、八幡平、岩手山 何れも東北方面の山はまだ行ったことがありません。いいところだと聞きますが、家からはチョット遠いです。
たけぱぱさんのレポで当分我慢です。いいな、いいな~。

近くの河原でも楽しめるなんて、いいですね!

また見つけましたよ!「青梅鉄道公園」!印象深く記憶に残っています。

投稿: カモシカ | 2007年5月14日 (月) 23時31分

はっしーさん、
岡山のご夫婦は天候とご自分たちの体力に対する判断が残念ながら甘かったのだと思います。無念だったろうと思います。
判断さえ間違わなければこの時期は雪の上を楽しく歩けるし、麓には花が咲き出し、楽しい山行ができますね。
無事を喜んでくださり、ありがとうございます。

投稿: たけぱぱ | 2007年5月18日 (金) 08時26分

H隊員へ、
1155キロの運転お疲れさまでした。
こちらこそ、おかげさまで楽しい山行が出来ました。ありがとう!
来月はどうなるかわからんが出来ればおいちゃんと白山・荒島に行きたいね。
よろしく哀愁!

投稿: たけぱぱ | 2007年5月18日 (金) 08時35分

カモシカさん、
お立ち寄りいただきありがとうございます。
カモシカさんのところにも花の写真などをのぞきに行ってるのですが、ちょっと重くてなかなかコメント残さずに帰ってしまいます。すみません。

青梅もいいところでしょ!
遊びに来てね。

投稿: たけぱぱ | 2007年5月19日 (土) 12時34分

遅ればせながら、じっくり楽しませていただきました。
こんなに雪があったなんて・・・ホント、ご無事で良かったです。玉野のご夫婦のご冥福を改めてお祈りします。

岩手山、電車から見たあの美しさに、まだ十代だった私はただただ感動するばかりでしたね~。まさかその時は自分が登山することになるとは夢にも思っていませんでしたし。思い出深い山の一つです。今回たけぱぱさんと
H隊員さんのお陰でこんなやまなのね~と知る事ができました^▼^ありがとうございました。


いつか絶対登ってやるぜ!!待ってな!岩手山!!

投稿: たっき~ | 2007年6月 3日 (日) 09時15分

たっきーちゃん、
私もあらためてこのレポを読みました。
雪がたっぷりと残っていましたが、歩きにくいことはなかったです。
岩手富士、南部富士といわれるだけあって、写真で見ても美しい山だと思います。
私は28年前にH副隊長と夏に登ったことがあるのですが、頂上付近の活火山らしい荒々しい景色と麓の松川温泉が印象的でした。

岩手山もたっきーちゃんを待っていると思います。

投稿: たけぱぱ | 2007年6月 3日 (日) 14時49分

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