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2008年10月15日 (水)

屋久島日記 2008年4月。4日目。

3日目から続く>>

2008年4月6日(日)、予報通り雨。

7時少し前にYHのスタッフがヒノキ風呂のスイッチを入れに来る。
実際はYHのお父さんかもしれない。
足音と時刻からの推測である。
トイレに行ったついでに見てみると推測通りにスイッチが点いている。
部屋に戻りタオルを持ち、ヒノキ風呂に行く。
扉に「男GENTLEMAN」の札をかける。

昨日、YHのお父さんが「明日からはヒノキ風呂しか使わないから」と言っていた。「にぎやかなのも今日まで。明日から静かになるよ」とも言っていた。

ヒノキ風呂の蓋を開けてぬるめのお湯にゆっくり浸かる。ヒノキの香りとこのぬるさが私には極楽である。

すると男性が一人入ってきた。30代前半といったところだろうか。

私「どちらからですか」と声をかけてみた。

男性「・・・」ニコニコしながらも言葉がわからない様子だ。

私「ジャパニーズ?」

男「コリア。韓国から来ました」

あとは中学生英語の応酬だ。

なんだかんだと喋って、ゆっくりと浸かって部屋に戻ると同室の男性が出発の準備をしている。

同室の男「ここはソフトバンク通じないんですよね。不便なんでポートサイドのYHに行きます」

(ここまで来て携帯通じなくたっていいんじゃないの・・・)

とは思ったが、口には出さない。

本館に行ってみると食堂には20人くらいいたが、ほとんど外国人のようだ。その中に先ほど風呂で会った韓国人の男性もいた。どうやら女1男2の三人組みのうちの一人らしい。

昨晩風呂で一緒だったフランス人男性もいた。

それから、食堂のカウンターの向こうには水戸からヘルパーをしに来ている女の子(名前をきかなかったので【水戸ちゃん】としておこう)がいた。なんで覚えているかというと茨城の若き友人【セ○ンちゃん】に顔が似ているからなのだ。昨年11月に家族でお世話になったときに「茨城にはそういう顔が多いのかな」なんて言ってからかったのを覚えている。

水戸ちゃん「初めてじゃないですよね?

私「うん、去年11月に家族4人でお世話になりました」

水戸「今回はお一人なんですか?」

私「休みが急に決まっちゃったもんでね」

旅先では朝飯がたくさん食べられる。ただの貧乏性なのかもしれないが、普段は一杯しか食べない御飯も旅先では3杯食べる。おかずもたくさんあって美味しい。

腹いっぱいになってのけぞってもまだお茶を何杯もおかわり。

食器をカウンターに下げ、水戸ちゃんに声をかける、

私「ご馳走様」

水戸「今日はあいにくの雨ですね」

私「うん、宮之浦でおみやげでも漁ってくるよ」

同室の男性はすでに出発したようだ。

ザックを背負ってカメラを首からぶら下げた状態で雨合羽を着る。背中もお腹も膨れて不恰好だが、雨風は止む気配なく降り続いているので致し方ない。

8:47に「平内入口」バス停を通るバスで宮之浦に向かうつもりだった。

バス停に行くと背の高い女の子が黄色い合羽を着てバス停の屋根の下で先に待っていた。あとからきいた名前だが、ヒサノちゃん。

ヒサノ「YHに泊まってる方ですか?」

私「そうです。今日はどちらへ?」

ヒ「白谷雲水峡です」

私「太鼓岩まで行くの?」

ヒ「行きたいとは思ってるんですけど・・・」

そんな話をしながらバスを待っていると1台の車が目の前で停まった。

車の窓から顔を出したのは50代半ばくらいのおじさんだった。

おじさん「宮之浦まで行きますよ。乗って行きませんか?」

ヒサノちゃんと顔を見合わせる。

私「乗せてもらおうか」

ヒ「はい」

というわけでおじさんの車の後部座席に二人で座る。

おじさんは宮之浦の郵便局に勤めている人で毎日片道1時間かけて車で通っているとのこと。

おじさん「こうやっていろんな人を時々乗っけていくんだよ~」

おじさんに「何をしに屋久島に来たのか」とか「どこから来たのか」「何回目か」「屋久島のどこがいいのか」などと、ヒサノちゃんと私と交互に訊かれた。

「勤めなのか学生なのか」という質問も飛んできたので、ヒサノちゃんが東京の学生さんで舞台衣装の勉強をしている19歳だということがわかった。

バスだと1時間15分くらいかかるところを45分くらいで宮之浦に着いた。

おじさん「お嬢さんはコンビニに寄っていくんでしょ。橋の手前のコンビニの前でいいかな」

ヒ「はい、大丈夫です」

おじさん「あなたもそこでいい?」

私「ハイ、そこでいいです」

ヒサノちゃんはコンビニに入って行く。

私は家族や友人にメール。その間にヒサノちゃんは道路の反対側を通って追い抜かしていったようで、宮之浦のバス停でまた会った。

私「気をつけてね」

ヒ「はい、ありがとうございます」

宮之浦港入口のバス停までテクテク歩く。9:10頃、環境文化村センターに到着。

郵便局のおじさんが車でつれてきてくれたおかげで9:20からの「屋久島一森と水のシンフォニー」を見ることが出来る。YHの会員証で、500円のところが400円に。

以下、屋久島町のHPから

縦14m×横20mの超ワイドスクリーン。上映時間約25分
  上映回数1日8回(1時間に1回)
  収容人員250名

 空撮などを駆使した臨場感あふれる屋久島の四季をお楽しみいただけます。

 【映像の一コマ】
  ヤクシマシャクナゲに彩られる奥岳の峰々
  サンゴ礁に群れる色とりどりの魚たち
  激しく流れ落ちる川と滝
  太陽に輝く一面の照葉樹林
  アカウミガメの産卵
  原生林の中に立ちつくす縄文杉
  雪におおわれる奥岳の峰々
   など 

Eizouhoru
←スクリーンの左脇にお姉さんが立っている。HPから。

ナレーションは阿部寛。特に見ごたえがあるのは空撮で奥岳の峰々と岳参りの白装束の人を撮るシーンだ。

映像を見終わって環境文化村センターのお土産物屋を少し冷やかす。

バスの時間を見計らって宮之浦港入口からYHの方に戻るバスに乗り「ホトー川」で降りる、11:40。

ここには

Kitchen & Cafe Ose

がある。

Image2191_60

←「Ose」外観。

ここは家族経営のイタリアンレストラン。なんでも広島から移住してこられたとか。船をイメージして作られた店内は雰囲気もいいのだが安くておいしい。そして「美人三姉妹」がいる。

店の真ん中の大テーブルのようなカウンターのような席に案内される。

パスタセット(950円)を注文する。サラダ、ガーリックパン、日替わりのパスタ、ドリンクのセット。野菜はここのおじいちゃんが農薬や科学肥料を使わずにつくったものがほとんどである。

斜め向かいに若いカップルがすわった。女性の顔に見覚えがある。3分ほど考えて思い出した、空港のカウンターのお姉さんだ。何しろ、04年・05年と2年立て続けに空港には強烈な想い出が焼きついている。お姉さんの顔も焼きついている。

一人で食べる昼食はそんな風に周りを観察しながらたんたんと進むのである。

やがてテーブル席・カウンター席もほぼいっぱいになり、ご同慶の至りである。

バスの時間までまだ間があるので、アイスコーヒーのお代わりをする。

そのうちにOseのおじいちゃんが出てきて水のお代わりサービスをしたり、健康法の説明をしたりと大忙しである。

私のところにもやってきた。

おじいちゃん「バスで来たんだよね。バスから降りるところ見てたよ。一人旅?いいねぇ。いくつ?49歳?若いねぇ。ボクは60歳。何時のバス?」そして健康法のお話になる。

美人姉妹とはお話する機会がなかったが、おじいちゃんとこれだけお話が出来たからいいかな。

会計をして外に出る。ジャズの流れる店内から外に一歩出るとそこはやはり屋久島だった。「Ose」の店内はちょっと「異空間」だった。

Image2201_60

←バス停から見た「Ose」

バスを待っているとおじいちゃんがお客さんを見送りに外に出てきた。私のほうを見て、

「いいねぇ」

12:50ころやってきたバスに乗り込む。相変わらずの雨である。

尾之間温泉入口でバスを降りる。坂道をテクテク歩いて登り、13:35頃温泉に着く。

Image221_60 わずか200円で足元から滾々と湧く本物の温泉に入れるのだからありがたい。

このあとはYHに帰るだけなのでこの温泉で出たり入ったり、1時間半ねばる。一人だけ私と同じように1時間以上ねばっているおじさんがいた。見た事があるような気もする。

また雨合羽を着て坂道をテクテク下りていく。

Image2231_35

←野ぼたんの花。

16:14、尾之間温泉入口から乗ったバスには先ほど温泉で同じようにねばっていたおじさんが右の一番前に、左の一番前にヒサノちゃんがすわっていた。屋久島交通の路線バスは全て「前乗り前降り」である。

私「白谷、行ってきた?」

ヒ「はい、行って来ました」

私「太鼓岩は?」

ヒ「雨がけっこう降っていたので、もののけの森まで行って帰ってきました」

前を向いたと思うが早いか眠ったようで、右に左に倒れたように眠っている。お疲れのようだ。右にすわっているおじさんが心配そうに時々ヒサノちゃんの方を見ている。

もうすぐYH最寄停留所という頃になってもヒサノちゃんは起きない。

私「次だよ」

ヒ「あ、はい、すみません。ありがとうございます」

「平内入口」では温泉で一緒だったおじさんも降りた。YHの方に向かって歩いていく。やはりYHで働いているおじさんだった。

部屋に戻り雨具を干す。今日は部屋を独占できるようだ。

さんざん温泉に浸かったのだが、またヒノキ風呂に入る。髪を洗ってサッパリする。

夕食をとりに本館に行く。夕食を食べたのは9人。韓国三人組。今日来たらしい女性2人組。女性一人。フランス人男性。ヒサノちゃん。私。

夕食には刺身が必ず出る。この日はアカバラだったと思う。

食堂のカウンターの向こうには温泉で一緒だったおじさんがいた。主に食事の担当のようだ。

夕食後、新館「すぎのこ」の談話室へ行ってみる。フランス人男性がPCと向き合っている。フロントでUSBキーを借りてきてタダで利用できる仕組みになっている。自分もブログなんぞを更新したいがなかなか空く様子がない。

旅日記(メモだけど)でも書くか・・・

焼酎(三岳)とつまみを持ってきてちびちびやりながら今日の出来事を書き出すと間もなくヒサノちゃんも談話室にやってきた。

私「今日は一日雨だったね」

ヒ「はい、でも仕方ないですね。屋久島って雨が多いんですよね」

などと言っているうちに韓国三人組が現れた。5人で中学生レベルの英語の応酬だ。難しい単語が出てこないのと発音がハッキリしているので一応会話は成り立つ。理解できないときは解らない顔ができる。

韓国三人組はご夫婦とその後輩の男性。後輩君は髪が長く、見た目は全く日本人のお兄さんだ。後輩君は三岳をすすめるとコップを持ってきてうれしそうに飲んでいる。そのうちに韓国海苔やら辛ラーメンまで出てきた。ラーメンはつまみにはしないでもらっておいたが。

私の「何故、屋久島に来たのか?」という問いに、三人組は「山尾三省と恩田陸の本を読んだから」と答えた。

三人の中では奥さんが一番英語がしゃべれるようである。旦那さんは英語にできない単語をときどき奥さんに英訳してもらっている。後輩君は気がつくとコップが空なので三岳をついであげる。よくよくきいてみると韓国では目上の人にお酒をつがれるとグッと飲み干さなければいけないんだそうである。

私「ここは日本だからゆっくり飲んでね」

5人の中学英語のやりとりを見て楽しいと思ったのかどうか、食堂で見かけた一人旅の女性が、「私もここにすわっていいですか?」と話しかけてきた。

皆「どうぞどうぞ」

女性「じゃあ、お言葉に甘えて」

と言ってすぐそばにある自販機で缶ビールを買って輪に加わった。

女性は食堂にいた女性二人組と同じく、YHの「縄文杉ツアー」に参加するため明日の朝は早いそうである。

韓国三人組も明日は縄文杉だ。自分たちのレンタカーで行くようだが。

「明日が早いので」と言って女性は自分の部屋へ戻った。

三脚を持ってきて記念写真を撮る。

Dsc00822_40

←席に着くのが間に合わなかった一枚。

Dsc00825_40

←左から、旦那・ヒサノ・後輩・奥さん・私。

このあと奥さんとメルアドを交換し、写真を送ることを約束して消灯の22時に皆自分の部屋に戻った。

部屋に自分しかいないのをいいことに、また部屋で三岳をちびりちびり。

明日はモッチョム岳にしようか白谷雲水峡か迷っていたが、白谷に決めた。また太鼓岩の上に立ちたい。

そんなことを旅日記に書いたところで就寝。

5日目に続く>>

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コメント

森と水のシンフォニー、我が家も初日に観ました!
これによって、屋久島の理解が深まり、
翌日からの山行のモチベーションが大幅にアップしました。

YH、楽しそうですね。
学生の頃、YHを利用して自転車で九州を縦断した事を思い出します~。

それにしても、たけぱぱは筆まめですね。
こんなにも丁寧な日記、私には書けません。

投稿: Aki | 2008年10月15日 (水) 15時37分

アハハハ「茨城にはそういう顔が多いかな」のユーモラスなジョークに大笑いで、仮称【水戸ちゃん】【セ○ン】ちゃんに反応!
いろいろな人たちとの出会いやりとり想像膨らませながらとっても楽しく読ませてもらいましたよ
野ぼたんの花とても美しいなぁ

投稿: はっしー | 2008年10月16日 (木) 05時19分

たけぱぱさんとakiさんの日記見ると。。。
ますます屋久島に行きたくなります。

調べてみよう・・・

投稿: あさこ | 2008年10月16日 (木) 20時52分

屋久島YHも随分とインターナショナルになったものだね。
また新たな出逢いに乾杯だね

投稿: H隊員 | 2008年10月19日 (日) 19時24分

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