<屋久島 07年11月 第2日目。から続く>
夜中に何度か目覚めた。
隣の部屋は電気をつけたまま寝ているようで、明かりが漏れている。
携帯を見るとまだ1時。5:02「平内入口」発のバスに乗る予定。4時にこの携帯の目覚ましで起こされるはず。まだ寝ていよう。
2007年11月12日(月)、次に起きたのが女房が電気を点けたとき。
(トイレに行くのにいちいち電気点けるなよ)と思ったのだが、
女房「4:20だよ。起きないと!目覚ましならなかったね」
私「しまった。夜中に起きたときに携帯の電源切ったかもしれない」
旅人はすばやく着替えている。その横でぼーっとしている岳人。
女房「岳、何やってんの!早く着替なさい」
岳「はーい」
といって、ふとんを思い切りはらいのけ、隣の部屋との境の引き戸にバーンと当たった。
私「静かにしろ。隣に人が寝てるのがわかんないのか!」
家にいても毎朝こんなもんではある。
YHの談話室にポットがあり、お茶やコーヒーは自由に飲んでいいようになっている。ポットのコンセントをはずして部屋に持ってきてカップラーメン4つにお湯を入れる。
旅人・女房・私は縦長のお湯をそそぐだけの「カップスター」。岳人は麺つゆやカヤクが別になったラーメンである。
私「いつもの朝とちがってゆっくり出来ないからね。4:50には出発するからね」
岳人は毎朝、迎えにきてくれる友達を待たせて女房とおばあちゃんにあきれられているんである。
そんなこんなのバタバタがあって支度終了。4:50、外に出てみると満点の星。今日の天気も約束されたようなもんだ。
「平内入口」のバス停にはYHに泊まっている女性二人組がいた。歩道のふちに腰掛けて星を眺めている。私たちも同じようにする。
真っ暗な中、「屋久島交通」と行き先表示をかかげたバスがやってきた。誰も乗ってない。ここから6人。
そのあと、JRホテル・屋久杉自然館などで何人か乗り、15~6人は乗っただろうか。JRホテルからは昨日390円なのに360円しかバス代を払わなかった女性三人組が乗ってきた。屋久杉自然館ではYHから乗った二人組が弁当を受け取っていた。
(そういう方法があったかー。弁当食いたかったな。きいてみればよかったなー・・・)
本日の我々の昼飯はパンである。たっぷり買ってきた。屋久島は水の心配はいらない。私はPETのお茶を持ってきたが、あとの三人は粉のスポーツドリンクとPETボトルでいくらでも補充がきくという作戦である。
6:10、「荒川三叉路」に到着。ここから少し歩いてバスに乗り換える。まだ薄暗い。
荒川三叉路から荒川登山口までは「フリー乗車券」では乗れず、大人300円子供150円を払って乗る。前のほうにすわっていると旅人がガイドさん(男性40代か)に話しかけらる。
ガイド「僕、どこから来たの?」
旅人「東京」
聞こえるか聞こえないかの小さな声である。
ガイド「何年生?」
旅人「2年生」
ガイド「学校は?」
旅人は答えられず、代わりに隣の女房が、「休んできたんですよー」
ガイド「親の都合ってやつだね」
私「自主休校ってやつです」
15分ほどで荒川登山口に到着。
ざっと見渡して今ここに80人くらいいるだろうか。体操をしたり、輪になってガイドさんの話を聞いていたり。
私たちもトイレを済ませ、靴紐を締め直し、出発前の写真を撮る。
6:52、歩行開始。
歩くとまもなく、若いガイドさんから声がかかる。
ガイド「10時間くらいかかりますよ。出発は遅いほうですから気をつけてください」
確かに旅人が10時間歩けるかどうか私も不安である。いざとなれば、トロッコ道はおぶってでも連れて帰ってくるつもりである。
←トロッコ道を歩き出す。枕木の幅が歩きやすい幅とは言えないなー。
←太忠川を渡る。
旅人を先頭にして歩いていく。旅人、岳人、私、女房の順である。
ピーッとホイッスルの音がして前のほうのガイドさんが、
「トロッコが来ますから、端に寄ってください」
すると後ろからトロッコがやってきた。
テツとしてはレールの上を走るものはなんでも好きなのである。
(おーい、オイラも乗っけてくれー)
旅人の歩きは快調で、どんどん大人を抜いていく。「360円隊」と名づけた女性三人組も抜いていく。
(これならおぶらなくても大丈夫かな・・・)
←「小杉谷橋」で安房川左岸に渡る。
小杉谷橋を渡るとまもなく「小杉谷小・中学校跡」である。7:38、第一回目の休憩。
トロッコが登れるくらいだからほぼ平らな道なのだが、あまりおもしろい道ではない。
←8:05、2回目の休憩。それぞれおやつなど食べています。このあたりにくると2本のレールの間に歩行用の木道があって歩きやすくなります。
←縄文杉は高塚小屋の0.2km手前ですから、あと5.3kmくらいですね。
←トロッコが方向転換をする場所があった。三回目の休憩。写真の右でレールが重なってやがて行き止まりになるのだが、そこで何事かをしていた我が家の息子たちはその現場を「360円隊」に見つかってしまった。女房と目が合って笑っていたそうである。
9:10、大株歩道入口に到着。ここでトロッコ道は終わる。立派なトイレがある。10分休憩。
9:20、再び歩き出す。ここからは山道になる。
←9:30、翁杉。全部の姿はとうてい写真に入らない。
←元気に先頭を歩いていく旅人。
9:40、ウィルソン株に到着。
私「よーし、休憩しよう。株の中に入ってみよう」
(wilson君の中から素晴らしい景色が見えるって誰かが言ってたなー。どれだろう?)
大株の中は広さ10畳くらい。その中に皆さんが一箇所に固まって上を見上げている場所がありました。
私「ここだ、ここだ!皆、みてごらん」
←「ウィルソン株から愛をこめて」
大株の中には祠があり、清水が湧き出していました。
←wilson君の中から見た景色を表現する人たち。
9:50、ウィルソン株をあとにします。
←快調に飛ばす旅人。
←女房はビデオを撮りながらシンガリを歩いてきます。
←気が付くとヤクシカがすぐ近くにいました。
10:20、皆さんが休んで弁当を食べているところがありました。水場があります。
ここで我々も休憩。皆さん弁当をここで食べてるということは縄文杉の近くにはゆっくりすわれるところはないんだろうな、と想像がつきます。
(我々はパンだからなんとかなるわい)
水の補給。バナナをかじって先に進みます。
←10:37、大王杉。
そろそろ、すれ違う人たちから、「もうすぐですよ」とか「僕、よくここまで来たな。何年生?」などの声がかかります。皆さん満足そうな顔をなさっています。
←「僕、もうすぐだぞ」
←名前もない杉ですが「よくここまで来たね」と言ってくれているような気がしました。
TVやガイドブックで見たことのある階段が見えてきました。これを登れば縄文杉に会えます。
←11:08、縄文杉です。やっとお会いすることが出来ました。
テラスの右側が記念撮影コーナー、左側がゆっくり見たい人たちコーナーのようになっていて、ガイドさんたちが撮影の回転をよくするためにお客さんたちを仕切っています。皆さんその指示に快く従っているようです。
私たちの順番が来ました。
←「呼ばれた人しか会うことのできない縄文杉」
私たちは呼ばれていたようです。
テラスの下に降りて、パンを食べます。たくさん買ったつもりでしたが、クリームパン一個だけ残してあっという間に食べてしまいました。岳人と私は魚肉ソーセージ。なんでもうまいな。
水場が近くにあり、若いガイドさんが、
「縄文水というのをペットボトルで見たことあると思いますが、あっちはどちらかというと白谷の水なんですね。こっちが正真正銘の縄文水ということになります」
なーんて言っていました。
私「さ、もう一度縄文杉をおがんで帰ろう」
休んでいるうちに体が冷えてきたので、皆レインウェアなどを着込んでもう一度階段を上り、縄文杉にお別れを言いに行きました。
「また来るからね。元気でね」
11:56、縄文杉をあとにします。
←12:22、夫婦杉。
行きにバナナをかじった水場で休憩。水を補給します。
13:15、ウィルソン株に戻ってきました。また愛をこめられに大株の中に入っていきます。
北海道から来たというおじさん三人組に旅人が話しかけられていました。
おじさん「僕、えらいな。何年生?二年生か。よーしおじさんが来年から三年生にしてやる」
←真ん中の写真に北海道おじさんも写っています。
13:30、wilson君をあとにします。
←苔が気に入ったようです。
13:50、大株歩道入口に到着。トイレ休憩。
(おなかすいたなー。そうだパンが一個残っていた)
クリームパンは半分女房にとられました。しかし、うまかったなー。
子供たちはプッチョやらハイチュウやらをたくさん持ってきたようです。
14:05、大株歩道をあとにします。地図ではここから2時間20分。
ところが旅人のペースがガクンと落ちてきました。すでに7時間くらい歩いています。こんなに長く歩いたことはいまだかつてないハズです。
私「おぶるか?まだがんばるか?」
旅「まだがんばる」
というので、旅・岳・私・女房の順でゆっくりトロッコ道を歩いていきました。行きと逆でどんどん大人に抜かされていきます。
←15:08、。「楠川別れ」。ここから昨日の「辻峠」まで1時間くらいです。まだ表情に余裕がありますね。
さらにペースダウンしましたが、もくもくと歩いています。
まだ余裕あるな。
15:38、小杉谷小・中学校跡。校庭に鹿がいました。山仕事から終わった人たちが校庭を通って帰ってきます。トロッコに乗っていたおじさんたちです。地元のガイドさんと何やらしゃべっていましたが、99%わかりませんでした。
さらにペースダウン。
私「おぶろうか?」
旅「もう少しだろ、がんばる。パパの杖貸して」
杖をつきながら歩いていく旅人に皆黙って付いていくのでした。
小杉谷橋を渡ります。
←さっきのおじさんたちがトロッコで戻っていきます。
16:35、ゴールです。荒川登山口に戻ってきました。
休憩も含めて9時間43分、旅人ががんばって歩いているので、皆泣き言も言わずに歩き切りました。屋久島の自然がやっぱり我々を応援してくれたんでしょうね。

←皆様、どういう表情に見えますか?
荒川三叉路まで行くバスはある程度の人数を乗せると発車していくようです。最終は17時です。
近くにいた若いガイドさんにきいてみました。
私「(今停車しているバスを指差して)これが最終ってことはないですよね?5時ですよね?」
ガ「大丈夫ですよ。見捨てていくってことは絶対にありませんから」
ゆっくりトイレに行って本当に最終のバスに乗った。16:55頃発車したようだ。
荒川三叉路で「平内海中温泉行き」に乗り換える。旅人は発車してすぐ爆睡のご様子。お疲れさん。
屋久杉自然館でほとんど降りる。ここにガイドさんたちの車が置いてあるようだ。
我々だけになったバスは暗くなった道を走って18:24、平内入口に到着。
荷物を部屋に置いてズボンをジャージに着替え、夕食だ。
ここのご飯はおいいしいです。がんばった旅人に刺身を少し分けてあげました。私も今日だけは発泡酒でなくてビールにしました。百円奮発です。
お腹いっぱいになってヒノキ風呂です。最高の幸せ。
明日はゆっくり島内観光。朝も早かったので早めに就寝いたしました。
<屋久島 07年11月 第4日目。に続く>
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